パフィン物語 No.2 石井さんのお父さんの龍の橋2016.12.10 15:47飛ぶことを楽しむ飛行機、パフィン号を、作った石井さん。パフィン号は、すべて、石井さんの、オリジナルです。まるで、オーダーメイドで、洋服を作るように。注文住宅を、建てるように。パフィン号は、石井さんが、すべて、図面をひき、設計したのです。そんな、石井さんのお父さんも、やはり、オーダーメイドが、得意な、金属加工の、職人さんでした。石井さんのお父さんが、高校生の頃、日本は、大きな戦争を、していました。植民地争いに、出遅れた、イタリア、ドイツ、日本の、三国が、同盟を結び、世界を相手に、戦争をしたのです。第二次世界大戦です。この戦争中、日本が、負けを認めるまで、日本国内の、たくさんの町や工場が、攻撃され、爆弾を、落とされました。岡山の南部には、飛行機を作る、三菱の工場、水島航空機製作所が、ありました。水島航空機製作所では、一式陸攻(いっしきりっこう)と、紫電(しでん)を、作っていました。一式陸攻(いっしきりっこう)は、宮崎駿監督の「風立ちぬ」に登場する、本庄季郎が、設計した、飛行機です。石井さんのお父さんは、この水島航空機製作所で、飛行機を、作っていました。この水島航空機製作所にも、爆弾が、落とされたのです。110機のB29が、1時間に、603トンも、爆弾を落し、工場は、滅茶苦茶に、壊されました。1945年6月22日、日曜日の朝でした。のちに、水島空襲、と呼ばれました。それから、約2ヶ月後、1945年8月15日、戦争が終わりました。戦争が終わり、平和が訪れましたが、石井さんのお父さんが、働くところは、なくなりました。敗戦国、日本は、飛行機を作ることを、禁止されてしまったからです。石井さんのお父さんが、働いていた、三菱の、水島航空機製作所も、例外ではありません。金属加工の、素晴らしい腕をもつ、石井さんのお父さんの、技術を生かせる場所は、どこにもありませんでした。岡山の北、成羽(なりわ)一帯では、奈良の時代から、銅や石炭が、採れました。奈良の大仏の、材料の銅も、成羽(なりわ)の銅が、使われました。終戦直後、成羽(なりわ)は、炭鉱が、盛んでした。当時は、エネルギーに、石油ではなく、石炭を、使っていたのです。石炭は、山の斜面から、採掘場まで、細長い、トンネルをつけて、掘り出されます。石炭堀り用の、ちょっと短い、ツルハシで、人の手で、掘っていくのです。石炭堀りは、たくさんの人で、交代しながら、昼夜、作業を進めました。成羽の炭鉱は、日の丸炭鉱、という会社が、行っていました。日の丸炭鉱のおかげで、成羽の町には、いろいろな施設があり、たくさんの人の、働く場所が、ありました。映画館、大衆浴場などの、娯楽施設。職人さんたちの、胃袋を支える食堂。日の丸炭鉱の、事務所も、採掘場近くに、ありました。働き口が、見つからない、石井さんのお父さんは、日の丸炭鉱の事務所で、働くことにしました。しかし、石井さんのお父さんの心は、晴れませんでした。日の丸炭鉱で、働いていたら、せっかくの、金属加工の技術が、生かせないからです。意を決して、石井さんのお父さんは、 日の丸炭鉱をやめ、倉敷市の実家の、玄関先で、一畳半の、小さな鉄工所を、ひらきました。(石井さんのお父さんの自画像)(倉敷市の石井さんのお父さんの実家)たくましい創造力と、金属を、粘土のように、自在に、扱う技術をもった、石井さんのお父さんの、小さな鉄工所は、倉敷の人たちから、愛され、成長していきました。石井さんのお父さんの、お客様は、いろいろな注文をします。ある日、倉敷市役所の人が、楽しいけれど、難しい仕事を、もってきました。橋の欄干を、龍の形にしてほしい、というのです。見せられた、紙切れには、口に巻紙をくわえた、龍の絵が、おおざっぱに、描かれていました。石井さんのお父さんは、持ち前のひらめきと、金属加工の、素晴らしい技術で、素敵な、二体の、龍の欄干を、作りました。(石井さんのお父さんが作った龍の橋「前神橋」)この龍の橋、「前神橋」は、今も、倉敷市美観地区の、入り口で、健在です。(前神橋の記念石碑)1954年のことです。そして、1954年は、石井さんが、生まれた年なのです。2016年12月9日(石井さんのお父さんの鉄工所・昭和60年頃)パフィン物語超軽量飛行機ウルトラ・ライト「パフィン号」が、空を飛ぶまでの、実在のお話です。フォロー2016.12.29 08:45パフィン物語 No.3 嘉香(よしか)ママと少年時代2016.11.29 01:43 パフィン物語 No.1 飛ぶことを楽しむ飛行機2コメント1000 / 1000投稿20150129kan2016.12.30 13:48@かずぼうコメントありがとうございます。主婦目線で、飛行機づくりに、関わった人たちを、紐解いていきたいと、思います。よろしくお願いします。返信するかずぼう2016.12.30 06:09とても心和むブログですね。じっくり拝見させて下さい。 舞台が地元というのも親近感があります。返信する
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2016.12.30 13:48
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