「○○ちゃん!あっそびーましょー!(遊びましょう)」
「はーい!」
こんな、
可愛いらしい
子供たちの
やりとりが、
聞けなくなって、
久しいです。
昭和の時代、
お天気の良い休日、
青空の下、
元気いっぱい遊ぶ
子供たちの笑い声が、
響いたものです。
電気を媒体とする
ゲームが、
存在しなかった頃の
子供たちの遊びは、
実に素朴でした。
川遊び、
木登り、
虫取り、などの
自然相手のもの、
ゴム飛び、
竹馬、
こま回し、など、
道具を使うもの、
陣取り、
草野球、
缶けり、などの
集団遊び、
と実に、
さまざまです。
西の空に
茜雲が
細長く伸びて、
薄暗い夕闇が、
広がるまで、
子供たちの笑い声が、
こだましました。
子供たちの学び舎、
小学校の近くには、
小さな、
文房具屋が
ありました。
横開きの
ガラス戸を
くぐると、
狭い空間に、
いろいろなものが、
並べられ、
ぶら下がっていました。
ノート、
鉛筆、
消しゴムなどの
筆記用具、
のり、
はさみ、
画用紙などの、
工作品、
糸、
フェルト、
針など、
手芸用品。
どの商品も、
5円、
10円くらいで、
当時の子供の
おこずかい範囲内で、
気兼ねなく、
買うことが
できるもの
ばかりです。
しかし、
ちょっと、
高価な、
けれど、
男の子たちに、
人気のおもちゃが
ありました。
ゴム動力の
模型飛行機セットです。
模型飛行機セットは、
千歳飴くらいの
大きさの
紙袋に入って、
ぶら下げられ、
売られていました。
紙袋の中身は、
竹ひご、
細い針金、
プロペラなどの、
模型飛行機の
組立部品と、
組み立て説明書が
入っています。
組み立て説明書を
参考に、
竹ひごを、
ロウソクの火で
あぶって、曲げ、
その上に
紙を貼って、
自分で、
作るのです。
上手に、
丁寧に、
組み立て、
調整すれば、
模型飛行機は、
良く飛びます。
おおざっぱに、
荒っぽい、
組み立て方をすれば、
まったく、
飛びません。
文房具屋の店先に、
ぶら下がっていた時は、
同じ条件で、
バラバラ状態の
模型飛行機なのに、
組み立てた人の手によって、
その飛び具合には、
雲泥の差が
出来るのです。
竹ひごの、
曲げ具合、
糊のつけ方、
小さな模型飛行機の
組み立てには、
飛行機作りの
小宇宙がありました。
おともだちの誰よりも高く、
長く飛ばすために、
子供たちは、
自分の模型飛行機に
工夫をこらし、
いつしかそれが、
本物の飛行機作りに
つながっていったのです。
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